中国の伝統劇入門
中国の伝統劇入門
  季国平演劇評論集

ISBN

978-4-89380-478-5

季国平
菱沼彬晁

定価

2,800円
初版
2017年11月10日
古典と現代─演劇観の衝突の中、未来を懸けて継承と発展を模索する中国の“戯曲”(伝統劇)が面白い!
中国戯劇家協会副主席・季国平による現場からの動態報告
中国伝統劇の魅力を伝える「中国“戯曲”の歩き方」

中国で「戯曲」は中国の伝統劇を指す言葉です。
中国戯曲は悠久の歴史を持ち、独特の様式と上演形態、そして芸術的魅力を備えています。全国的な人気を博している昆劇、京劇、秦腔、川劇、越劇などをはじめ、広大な国土を持つ中国では、その土地に根ざした伝統劇が育ち、その数は“百を以て数え”、今なお生きた活動を続けています。特筆すべきは、それぞれの戯曲芸術が根強い観客の支持を受けながら、継承と発展に努め、実のある成果をあげていることです。
季国平「自序」より

中国の伝統劇入門─季国平演劇評論集 目次

著者近影・略歴
自序

第一章 「戯曲」と呼ばれる舞台芸術
[1] 戯曲はいつ、どこで生まれたのか──中国人一千年の精神世界
[2] 地方語のリズム、メロディーと新曲の創作
[3] 喜劇のルーツ 「科諢」の技法
[4] 古典と現代が衝突する時代の中国戯曲──梅蘭芳、李漁とブレヒト
[5] 中国戯劇家協会の活動と戯曲国際化の課題
[6] ITI国際演劇協会アジア初の世界大会を主催して

第二章 昆劇は蘭の香り
[7] 古典の流行──『牡丹亭』現代六バージョン
[8] 湯顕祖・シェイクスピア没後四〇〇年に寄せて
[9] 上海昆劇団が湯顕祖『臨川四夢』を復活上演
[10] パリ驚倒 梅花賞芸術団『白蛇伝』公演

第三章 京劇の名優たちとその芸
[11] 京劇の本籍は「京」ではない──梅葆玖・劉厚生論争
[12] 戯曲俳優に求められる素養と見識──李玉茹一代記
[13] 永遠の梅蘭芳四題
[14] 南に周信芳あれば北に梅蘭芳あり──「南麒」「北梅」形成の土壌

第四章 動態報告 地方劇が今面白い
[15] 地方劇は都市を包囲する──第七回「中国演劇祭」を観て
[16] 大地踏み鳴らす秦腔 凄美の響き『花児声声』
[17] 花鼓ではやす祝祭劇 湖南花鼓戯と喜劇の美学
[18] 女性が演ずる髯の「老生」 晋劇『傅山進京』
[19] 『マクベス』が?劇『驚魂記』に
[20] 山に吼える吟唱 河南豫劇『程嬰救孤』
[21] 福建省古典劇継承の価値──北京集中公演を観て
[22] 「文人劇」と「歴史劇」の伝統──福建省京劇団『北風緊』
[23] 都市化・現代化・市場化 越劇百年の生命力
[24] 種も仕掛けも外連味も 新編『紅梅記』と現代川劇
[25] 川劇『潘金蓮』と「中国現代演劇の運命」大論争

資料
中国戯曲分布図、一覧表

解説
『中国の伝統劇入門─李国平演劇評論集』解説──中国“戯曲”の歩き方=中山 文(神戸学院大学教授)
伝統演劇から〈伝承〉と〈革新〉を観る=阿部 亘(広州中山大学研究員)

  季国平(Ji Guoping)

演劇評論家、文学博士、研究員(教授)、中国戯劇家協会常務副主席、国際演劇協会(International Theatre Institute)中国センター主席、2014年国際演劇協会国際本部副主席(副会長)に選任され、2017年8月再選。中国戯曲現代戯研究会会長、中国戯曲学会顧問。
 1956年8月江蘇省生まれ。揚州市範学院卒業。著名な演劇学者・任中敏教授(筆名「二北」、「半塘」)と徐沁君教授に師事、1987年文学修士、1991年文学博士。
 1991年中国戯劇家協会に赴任、長期にわたって中国演劇界の活動に従事して中国演劇祭、曹禺劇作賞などの実施・運営に当たる一方、中国演劇梅花賞選考委員会主任を務める。
 学術面は中国の伝統劇(戯曲)の歴史と理論研究を進め、現代における伝統の継承と発展に関する実施研究に及んでいる。
 主な著作は『元雑劇発展史』、『宋明理学与戯曲』、『湯顕祖小品』、『毛沢東と郭沫若』、演劇研究と評論集『寒窓集』、『頤和集』など。
 今世紀に入ってから中国の伝統演劇が国際舞台に進出する中、世界各国との演劇交流の実務を積極的に推進し、ITI 国際演劇協会の世界代表大会を初めて中国に誘致、2011年第33回大会を厦門で開催したのに続き2017年第1回、ITI「国際伝統劇フォーラム(ITI Traditional Performing Arts Forum)」を創設、筆頭理事(会長)に選出された。

  菱沼彬晁(ひしぬま・よしあき)

1943年11月北海道美瑛町生まれ。
早稲田大学仏文学専修卒業。
翻訳家、(公益社団法人)ITI国際演劇協会日本センター理事、日中演劇交流・話劇人社事務局長、元日本ペンクラブ理事。
中国現代演劇の主な訳業及び日本公演作品
・日本文化財団制作 江蘇省昆劇院日本公演『牡丹亭』『朱買臣休妻』『打虎・遊街』
・AUN制作 孫徳民作『懿貴妃』
・松竹株式会社制作 孫徳民作『西太后』
・新国立劇場制作 過士行作『棋人』『カエル
・ITI国際演劇協会日本センター制作 莫言作『ボイラーマンの妻』、過士行作『魚人
・劇団東演制作 沈虹光作『長江乗合船』『幸せの日々』『臨時病室』
中国現代演劇の単行本、演劇誌掲載作品
・早川書房刊「悲劇喜劇」掲載 郭啓宏作『李白』
・晩成書房刊『中国現代戯曲集』掲載 任徳耀作『馬蘭花』、過士行作『鳥人』『ニイハオ・トイレ』『再見・火葬場』『遺言』、孟冰作『これが最後の戦いだ』『白鹿原』『公民』『皇帝のお気に入り』『ミラーゲーム』ほか
中国現代小説の主な訳業

・莫言作『牛』『築路』(岩波現代文庫)
・過士行短編小説集『会うための別れ』(晩成書房)ほか
受賞 2000年(平成12年) 湯浅芳子賞

  
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