素顔をさらす俳優たち
    川村光夫評論集

ISBN

4-938180-91-3
978-4-938180-91-1

川村光夫

定価

1,800円
初版
1987年7月1日
岩手・ぶどう座の40年にわたる活動から生まれた、地域に生きる演劇論、地域を活かす文化論。自らの仕事と地域の先達、宮澤賢治、松田甚次郎らを論じる中で、現代日本の文化を地域の側から逆照射する。

【もくじ】より

第1章 漂白と定住
1 「地域」をめぐって
演劇成立の基盤/戦後民主主義運動の出発/新劇との出会い/この違和感はどこからくる/地域演劇運動への芽生え/地方か地域か/再び地域運動が/それに続く状況
2 漂白と定住
私の原体験/漂白と定住者/漂白者の立場/定住者芸能の源流/黒川能と上海京劇のこと/何故かくも伝承に/大償でみた「鐘巻」のこと/定住と漂白の間をゆく
第2章 素顔と仮面
1 折り重なる地域の歴史
崩れゆく地域社会/「どぶろく農民の墓」/素顔をさらす/観客もまた
2 演劇の二分性
プレヒトから学ぶ/演劇の二分性/何故仮面か/持つということ
3 素顔の中学生
平野君の研究/素顔をさらす構造
第3章 遠く立つ人─宮沢賢治
1 『饑餓陣営』の意味
再会の場所/賢治劇の反戦思想/賢治劇のユーモア/バナナを食べながら/子が演じて親が観て/饑餓の背景/今に生きている賢治劇
2 『植物医師』の構造
方言による文体/くり返しの手法/逆転してゆくくり返しの力/現実をこえてゆく視点/有力者たちの植物医師
第4章 存在としての地域演劇─松田甚次朗
1 『水涸れ』の成功以後
宮澤賢治との出会い/賢治の教え/甚次朗、村へ帰る/『水涸れ』上演/貯水池築造なる/「酒造り」その他/農民としての甚次朗/宮家更生資金拝受/最上/共同村塾のこと
2 存在としての地域演劇
甚次朗評から/甚次朗演劇論/二作品を読んで/台本の残らぬ演劇/賢治の場合/「存在」と「方法」
第5章 表現としての地域語
1 地域の作家たちの地域語
共通語と地域語/佐々木喜善の文体/宮沢賢治の地域語/松田甚次郎の場合
2 文盲の文化としての地域語
譬えを考える/昔話・音だけの世界
3 専門用語と民衆語源
地域語小史/言葉の力/言葉の氾濫/民衆の語感
4 古層意識へ
「森」と「盛」/音と臭いと/「ひら」の発見/古代人の感覚へ/舞いを舞う
第5章 想像力の場としての地域
1 地域の精神と語り合う
自然から聞いた話/死へ向かう小十郎/死を浄めるために/「ごまざい」のこと/「古事記」の中のごまざい/鹿踊りのはじまり/本当の精神を語ろうとして
2 昔話の中の想像力
語られる場所/昔々あるけずおん/「猿聟入」話/命名のこと/神楽幕のこと/外国でみた幕のこと/考えながら楽しむ
3 わが創作体験
事件になる/『長町選挙』のこと/留まるものと飛翔するもの/猿野物語の世界/伝説となる事件/こぼれ落ちる昔話/亡霊の手をかりて/『うたよみざる』誕生/合わせ鏡をかざして
4 おわりに
運動の二方向のこと/新しい人間関係をつくる/二つの方法のかかわり/開くことと守ること/守ることから開くことへ
付・地域演劇論(1)
1 はじめに
2 地域演劇性の歴史から学ぶもの
民話をうけついできた者/大正時代の演芸会から学ぶもの/戦争から戦後にかけて
3 私たちの観客
観客と一緒に成長してゆくこと/私たちのことなら、なんでも知っている/観客とどうつながるか
「素顔をさらす俳優たち」の素顔−ある編集者との対話−富田博之
1 戦後地域演劇運動と「ぶどう座」
2 「ぶどう座」が生き方を変えた
3 「ぶどう座」は地域の力が築いたもの
4 生きる証としての「ぶどう座」

年譜
あとがき
  
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