関西小劇場30年の熱闘
関西小劇場30年の熱闘
  〜演劇は何のためにあるのか〜

ISBN

978-4-89380-466-0

九鬼葉子

定価

3,000円
初版
2016年2月1日
劇場へ急げ!
めまぐるしい関西演劇界の30年を、九鬼葉子は、その荒波越えて漂流した。うねる海の出来事が、この一冊にフラッシュバックする。気づけば彼女は、決っして沈まぬタイタニック、その船首のニケだ。
内藤裕敬

オレンジルーム、ピッコロシアター、扇町ミュージアムスクエア、アートスペース無門館、アイホール…維新派、犯罪友の会、ダムタイプ、南河内万歳一座、劇団☆新感線、M.O.P.、太陽族、MONO、桃園会…
現代演劇の伴走者・九鬼葉子が綿密な取材としなやかな感性で描く、熱く、激しい、関西小劇場の過去〜現在そして未来ー。

関西小劇場30年の熱闘●目次

まえがき

序章 1980年代以前
    
〜関西小劇場の黎明〜
1960年〜1970年代

第1章 1980年代
    
〜関西小劇場演劇ブームの出発と興隆〜
1 阪急ファイブ・オレンジルーム
コラム 学校内のスペースが演劇のメッカに
2 兵庫県立尼崎青少年創造劇場〜ピッコロシアター
劇評
兵庫県立ピッコロ劇団『モスラを待って』
兵庫県立ピッコロ劇団『蛍の光』
兵庫県立ピッコロ劇団『劇場版日本三文オペラ』
3 扇町ミュージアムスクエア
劇評
第2回OMSプロデュース『ともだちが来た』
第4回OMSプロデュース『ここからは遠い国』
4 近鉄劇場・小劇場 近鉄アート館
劇評
戸川純一人芝居『マリィヴォロン』
劇団☆新感線『直撃!ドラゴンロック2』
5 吹田市文化会館〜メイシアター
劇評
メイシアタープロデュース近松劇場『強いばかりが男じゃないといつか教えてくれたひと』
メイシアタープロデュース近松劇場『夢のひと』
メイシアタープロデュース『かもめ』
6 アートスペース無門館
7 伊丹市立演劇ホール〜アイホール
劇評
アイホール+岩崎正裕共同製作『ルカ追走』
アイホール+小原延之共同製作『nine』
アイホール+岩崎正裕共同製作『フローレンスの庭』 

第2章 1990年代
    
〜若い力が新しい世界を切り開く〜
1 ウイングフィールド
劇評
遊劇体『海神別荘』
劇団犯罪友の会『手の紙』
劇団ジャブジャブサーキット『月光カノン』
2 大阪市立芸術創造館と大阪演劇祭、大阪現代演劇祭
劇評
桃園会『海亀が微笑うよ』
トリコ・Aプロデュース『夢魔』『孤児の処置』
3 アトリエ劇研
劇評
桃園会『熱帯夜』
昼ノ月『顔を見ないと忘れる』
4 神戸アートビレッジセンター
5 一心寺シアター倶楽
劇評
南河内万歳一座『夕陽ケ丘まぼろし営業所』
6 應典院
劇評
劇団犯罪友の会『のこり香』
伏兵コード『留鳥の根』

第3章 2000年代
    
〜失われた劇場。状況との格闘〜
1 精華小劇場
劇評
劇団 太陽族『S小学校の眠らない夜』
桃園会『浮標』
2 ウルトラマーケット
劇評
南河内万歳一座『なつざんしょ…?夏残暑?』
3 インディペンデントシアター 1&2
劇評
工藤俊作プロデュース『黄昏の犬たち』
南河内万歳一座『満月』
4 京都芸術センター
劇評
『Jericho2』
KUNIO『エンジェルス・イン・アメリカ』

第4章 OMS戯曲賞
    
〜演劇は時代をどう捉えたか〜

第5章 関西現代演劇俳優賞
    
〜俳優は観客を幸せにする〜
1 関西現代演劇俳優賞について
2 現代演技論研究会について
3 受賞理由と演技についての考察
江口恵美/森本研典/南勝/金替康博/荒谷清水/工藤俊作/水沼健/生田朗子/亀岡寿行/内田淳子/風太郎/藤野節子/佳梯かこ/奥村泰彦/玉置稔/や乃えいじ/岩松高史/川本三吉/紀伊川淳/菊谷高広/はたもとようこ/原真/尾方宣久/川田陽子/武田操美/加納亮子/奇異保(保)/はしぐちしん/中田彩葉/大熊ねこ/岸部孝子/条あけみ/二口大学/F・ジャパン/亀井妙子/こやまあい/金城左岸/森川万里/秋月雁/村尾オサム/武田暁/戎屋海老/田中遊/今井佐知子/孫高宏/三浦隆志/土田英生/橋本健司/平井久美子 

第6章 「言葉の劇場」「劇の軌跡」
    
〜演劇はどのようにして作られるのか? 劇団稽古場密着ルポ〜
●「言葉の劇場」より
199Q太陽族『ここからは遠い国』
●「劇の軌跡」より
メイシアタープロデュース『近松ゴシップ』
第5回OMSプロデュース『滝の茶屋のおじちゃん』
PM/飛ぶ教室『舟唄。霧の中を行くための』
劇団☆新感線『古田新太之丞・東海道五十三次地獄旅─踊れ!いんど屋敷』
南河内万歳一座『さらバイ』
桃園会『よぶには、とおい』
劇団犯罪友の会『一花のいたち』
維新派『キートン』前編
維新派『キートン』後編
くじら企画『サヨナフ』
劇団 太陽族『JAPANESE IDIOT』

第7章 舞台の熱闘
    
〜劇評1995年〜2014年〜
1995年
死線を越えて─神戸復興への願いを込め……
1996年
ダムタイプ『S/N』
唐組『模造石榴』(神戸被災地公演)
南河内万歳一座『唇に聴いてみる』
劇団犯罪友の会『牡丹のゆくへ』
1997年
劇団M.O.P.『KANOKO』
劇団犯罪友の会『椿と海峡』
1998年
『北村想の宇宙』
1999年
あまがさき近松創造劇場『蜻蛉』
MONO『─初恋』
2000年
桃園会『どこかの通りを突っ走って』
劇団☆新感線『阿修羅城の瞳』
199Q太陽族『街踏劇 ぼちぼちいこか』
2001年
劇団態変『壺中一萬年祭2001』
ラックシステム『お祝い』
第6回OMSプロデュース『その鉄塔に男たちはいるという』
兵庫県立ピッコロ劇団『雨かしら』
桃園会『かえるでんち』
タイタスプロジェクト『のにさくはな』
2002年
劇団犯罪友の会『あさがおの半鐘』
南船北馬一団『帰りたいうちに』
桃園会『blue film』 
2003年
MONO『チェーホフは笑いを教えてくれる』
京都ビエンナーレ2003『宇宙の旅、セミが鳴いて』
桃園会『深海魚』
2006年
劇団 太陽族『だけど、ほらごらん』
2007年
唐組『行商人ネモ』
2008年
ニットキャップシアター『愛のテール』
下鴨車窓『旅行者』
PM/飛ぶ教室『きょうも恋唄』
遊劇体『山吹』
劇団M.O.P.『阿片と拳銃』
劇団 太陽族『往くも還るも』
劇団☆新感線『五右衛門ロック』
虚空旅団『冬のトマト』
維新派『呼吸機械』
2009年
『グッドナイト スリイプタイト』
劇団☆新感線『蛮幽鬼』
2010年
木ノ下歌舞伎『勧進帳』
くじら企画『密会』
2011年
劇団 太陽族『大阪マクベス』
『オダサク、わが友』
真夏の會『エダニク』
2012年
下鴨車窓『小町風伝』
兵庫県立ピッコロ劇団・オフシアター『エレノア』
劇団☆新感線『シレンとラギ』
劇団 太陽族『それからの遠い国』
維新派『夕顔のはなしろきゆふぐれ』
新宿梁山泊『百年〜風の仲間たち』
極東退屈道場『タイムズ』
空晴『これまでの時間は』
2013年
A級MissingLink『或いは魂の止まり木』
MONO『うぶな雲は空で迷う』
『レミング』
遊劇体『戀女房』
『象』
文学座『大空の虹を見ると私の心は躍る』
2014年
MONO『のぞき穴、哀愁』
唐組『桃太郎の母』
劇団 太陽族『執行の七人』
劇団ジャブジャブサーキット『ディラックの花嫁』
くじら企画『夜、ナク、鳥』
清流劇場『IPHIGENIE』
第18回女性芸術劇場『姉妹たちよ』
●「連なる閃光─無鉄砲集団南河内万歳一座30年史」

第8章 30年の総括と、未来へ…
1 民間から公共へ
2 演劇を「高める」から「広げる」発想へ
3 個人経営の小劇場、カフェの活況
4 他地域の劇場との連携
5 野外演劇の雄姿
6 公共ホール〜大・中劇場の動き
7 未来への提言〜望まれる東京など他地域との交流、海外交流
8 演劇は何のためにあるのか

あとがき

 九鬼葉子(くき・ようこ)

1958年兵庫県神戸市生まれ。甲南女子大学文学部国文科卒業。情報誌「Q」「ぴあ関西版」編集部で演劇を担当後、演劇評論家になる。現在、大阪芸術大学短期大学部メディア・芸術学科准教授。関西の小劇場をはじめとする現代演劇の劇評、評論が多い。1980年代、阪急ファイブ・オレンジルームから始まった、関西小劇場演劇ブームと、それに続く新たな動きについて、30年以上取材を続ける。「アイプレス」(アイホール発行)、「劇の宇宙」(財団法人大阪都市協会発行)を通して、劇団稽古場密着ルポを10年間連載し、おもに関西の各劇団の方法論を取材。関西現代演劇俳優賞選考委員ほか。著書に『阪神大震災は演劇を変えるか』(共著、晩成書房、1995年)、『29歳の女たち』(リヨン社、1996年)。

  
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