演劇は可能か 演劇は可能か
 
〈1995年以後〉の劇的想像力

ISBN

978-4-89380-359-7

西堂行人

定価

2,200円+税
歴史が急速に流れはじめた。進んだのか、退いたのか、その評価は人によって違うだろうが、世界がグローバル化の波に覆われ、〈帝国〉の支配が世界の細部にまで行き渡った感があることは、誰しも否定できないだろう。イデオロギーの時代は去り、市民社会の成熟に見合ってジャンルの生き残りが画策され、それがついに資本の論理が貫徹する時代が到来した。しかしそこで現象してきたのは、ほとんど度し難きまでに「希薄」な時代だったのである。

最近わたしは、60年代から2000年までを総括する論考で、この30有余年を四つの時期に区分した。「68―73年=運動の勃興期」「74―85年=小劇場の熟成期」「86―94年=エンゲキの迷走期」の三期は、今でもたぶん有効だと思う。……しかし、では1995年以後は何とすればいいのか。その問いが改めて突き返されてきたのである。

【目次】 より



現代社会と演劇

I 演劇はすでに壊れている
   演劇はすでに壊れている
   演劇/芸術は可能か?
   関節のはずれた時代に

II 演劇史再考―90年代演劇の視角
   演劇史再考
   「問題」としての九〇年代演劇
   演劇史、戯曲史の見直し、読み直し
   日本の演劇を歴史的に捉え直す
   象徴天皇制から情報天皇制へ
   果たして日本演劇は世界に通用したのか
   アングラと伝統演劇
   百年後のチェーホフ


III 現代演劇ノート

   演劇で暴力批判は可能か
   個としてではなく集団として生きるために
   アンケートに見る現代演劇の動向
   読売演劇大賞の十年
   ヒーローからコロスへ
   恋愛劇の不可能
   翻訳劇の現在

IV 批評の批評

   劇のアクチュアリティに向けて―批評の批評1
   生活と芸術を結ぶもの
―批評の批評2
   ナイーヴとシニシズム
―批評の批評3
   日本の実験演劇
―批評の批評4
   大状況とサブカル演劇
―批評の批評5
   いま、演劇に何が起こっているか
―批評の批評6

V 関西演劇小論

   仮説としての「関西演劇」―維新派の位置
   「関西演劇」は劇的震源地になりうるか?
   関西演劇に注目
   大阪演劇祭はどこへ向うか
   関西演劇はこれからどこへ行くのか
   野外劇の醍醐味
   実験の新しい場――〈仮設劇場〉WA

あとがき
初出一覧


西堂 行人 (にしどう・こうじん)

演劇評論家。近畿大学文芸学部(舞台芸術専攻)教員。
1954年東京生まれ。早稲田大学文学部(演劇専修)卒業。
同大学院(芸術学)中退。
70年末より主として日本のアングラ・小劇場運動に随伴しながら演劇批評活動を開始。
80年後半より海外の演劇祭等を訪れ、
90年よりドイツの劇作家ハイナー・ミュラーを素材としたプロジェクト(HMP)を組織し、
2002年8〜9月には「かなざわ国際演劇祭―ハイナー・ミュラー/ザ・ワールド」を企画する。
2003年10〜12月には東京で中国、韓国を含む18劇団参加による
「ハイナー・ミュラー/ザ・ワールド2003」フェスティバルの実行委員長を務める。

著書に
『演劇思想の冒険』(論創社、1987)、
『見ることの冒険』(れんが書房新社、1991)、
『小劇場は死滅したか―現代演劇の星座』(れんが書房新社、1996)、
『ハイナー・ミュラーと世界演劇』(論創社、1999)、
『ドラマティストの肖像―現代演劇の前衛たち』(れんが書房新社、2002)、
『韓国演劇への旅』(晩成書房、2005)、
編著『演出家の仕事―60年代・アングラ・演劇革命』(れんが書房新社、2006)、
『劇的クロニクル』(論創社、2006)、
『現代演劇の条件―劇現場の思考』(晩成書房、2006)などがある。

  
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