脚本集311
脚本集 3・11
  東日本大震災・原発事故を見つめる

ISBN

978-4-89380-452-5

日本演劇教育連盟

定価

2,400円
初版
2014年5月30日
演劇だからこそ伝えられる思いがある。
 演劇だからこそ表せる真実がある。
  あの3・11を我が事として考え続けるために……

あの日以来、学校現場で、演劇の最前線で、児童青少年演劇の舞台で、
3・11を描く数多くの劇が生まれ、上演されている。
3・11を真っ向から見つめて生みだされた注目の7編を掲載。

シュレーディンガーの猫〜OUR LAST QUESTION
佐藤雅通

震災で避難してきた2人の生徒と、受け入れたクラスメート。それぞれの思いと葛藤を孕んだまま、卒業間際のお別れ会が始まった。

2012年10月福島県立大沼高校演劇部初演
2013年日本演劇教育連盟脚本募集特選
2014年4月東京公演

Final Fantasy for XI.III.MMXI
いしいみちこ

舞台は、震災により危険構造物となった北校舎。そこに迷い込んだ洋子とそのクラスメイトたちが、何もかもが元通りになるという「復活の呪文」を手に入れるための冒険に出発し、ホアン保安院やゲンシーロなどの県民を苦しめるモンスターたちと対決する。

2011年8月福島県立いわき総合高校演劇部初演
2011年12月東京公演
2012年5月文部科学省講堂で上演

もしイタ〜もし高校野球の女子マネージャーが青森の「イタコ」を呼んだら
畑澤聖悟

4月。青森市にある県立賽河高校。その野球部に女子マネージャー、シオリが入部してきます。彼女は1年生の頃、陸上部に入部しており、やり投げでインターハイに出場したほどの選手でしたが怪我のため現役を断念し、陸上部が廃部になったため、2年生のこの時期に野球部に入部したのです。自分が果たせなかった夢を野球部に仮託し、情熱を燃やすシオリでしたが、肝心の野球部は部員が8人しかおらず、やる気のかけらもありません。一念発起したシオリは部員勧誘に乗り出し、転校生カズサに目を留めます。カズサは被災地の学校からこの春転校してきたばかりでした。そして、前の学校では野球部に所属していたというのです。「野球は辞めた」と言いはるカズサをなんとか説得したシオリは「今度はちゃんとしたコーチに来て貰おう」と学校に掛け合います。しかしやってきたコーチはなんと、盲目の老婆、イタコでした。「ワの言うことを聞げば絶対甲子園さ行げる」と豪語する老婆。野球部はいったいどうなってしまうのでしょうか?

2011年9月青森県立青森中央高校演劇部初演
2012年8月高校演劇全国大会参加
以後全国で上演を継続中

そこで、咲く花
矢野青史

2011年4月29日、花のゴミ山の前に、福地愛子と北浜咲。咲は震災後、双浜農業高校から、福島農業高校へ転校してきたばかり。今日は、PTA総会、そして学校の職員へのカーネーションの販売日、明日は地元の人たちへの一般販売日。草花班の生徒たちは、放課後、学校の農場にある温室で忙しく動きまわっている。愛子と咲が、農場の片隅にある、花のゴミ山の前でサボっていると、双浜町からの避難者の女性に声を掛けられて……。

2011年10月福島県立福島明誠高校演劇部初演

瀬戸山美咲

3月12日夜明け前。
海辺の町にたたずむ男と女。
視線の先にあるのはハンドルを強く握りしめる指。
男はその指を切ると言った。

最初にあったのは「ある現実の断片」。震災直後のある場所で実際に起きたこと。
私はその背景を、それをした人を、想像できなかった。だから、想像してみようと思った。
今日、もしも、よく知ったあの人が遠く感じられたとしても、絶望しない。
そのことだけが、私たちの未来を取り戻すと信じています。
ミナモザ HPより

2011年11月企画公演「日本の問題」で初演(中野ザ・ポケット)

ふるさとを捨てる
鈴江俊郎

東日本大震災後の福島。原発事故のあと、西日本に移住しようとする兄。
弟も放射能の影響を恐れて、子育てをする土地を移そうと妻を説得しようと台所に呼び出した。
妻はそれを「心配しすぎが」「風評被害だ」と否定する。
実のところ、妻にはもっと大きな気がかりがあったのだ。

2012年3月「SHINSAI Theaters for Japan」ニューヨークで英語版にて初演

空の村号
篠原久美子

夢がいっぱいで、SFで冒険でフィクションで、
ホントのことなんかひとっつも入っていない映画を、今、作る!

福島の美しい里山で暮らす酪農一家の長男、楠木空は小学5年生。
2011年3月11日に東日本を襲った大震災と原発事故で家族も村も大きく揺れ動くなか、
空は取材に来ている映画監督から、本当のことを映すのがドキュメンタリーであると教わる。
しかし、空は家族や友達の震災後の様子を見ていると、本当のことなんて面白くないと感じてしまう。
そこで空は夢に生きる男になることを決意し、本当のことがひとつも入っていない映画を撮ることにした。
タイトルは「宇宙海賊船・空号の冒険!」
劇団仲間 HPより

2012年8月初演、日本児童・青少年演劇劇団協同組合「震災後の演劇を考える合同公演」(沖縄)
斎田喬戯曲賞受賞


 佐藤雅通(さとう・まさみち)

福島県立大沼高等学校国語科教諭・演劇部顧問。
会津若松市生まれ。明治大学文学部卒業。
2006年『笑わない女、泣けない男』福島県高等学校演劇コンクール創作脚本賞。
2012年『シュレーディンガーの猫〜Our Last Question〜』福島県高等学校演劇コンクール最優秀賞、創作脚本賞。
2013年、同作品で日本演劇教育連盟「2013子どものための脚本募集」特選(晩成書房戯曲賞)受賞。

 いしいみちこ

ドラマティーチャー。
福島県立いわき総合高等学校「芸術・表現系列」教諭・演劇部顧問(執筆時)。2001年より同校の総合学科の立ち上げに携わり、教科としての「演劇」のカリキュラムと系統的指導について研究。
同校「演劇」の授業は平田オリザ、柴幸男、前田司郎、藤田貴大、飴屋法水ら専門演劇人の協力を得て実践を重ねている。
演劇部では掲載作品以後も、
2012年『北校舎、はっぴーせっと』、
2013年『あひる月13』福島県高等学校演劇コンクール優秀賞第3席、を発表。

 畑澤聖悟(はたさわ・せいご)

劇作家・演出家。青森県立青森中央高等学校教諭・演劇部顧問。劇団「渡辺源四郎商店」主宰。
1964年秋田県生まれ。青森市を本拠地に全国的な演劇活動を行っている。
2000年脚本・演出を手がけたラジオドラマ『シュウさんと修ちゃんと風の列車』が平成11年度文化庁芸術祭大賞を受賞。
2005年『俺の屍を越えていけ』日本劇作家大会短編戯曲コンクール最優秀賞受賞。
2008年『ショウジさんの息子』でCoRich舞台芸術まつり2008グランプリ受賞。
2009年『親の顔が見たい』で第12回鶴谷南北戯曲賞ノミネート。
2013年『翔べ!原子力ロボむつ』で第57回岸田國士戯曲賞ノミネート。
高校演劇部顧問として指導した青森中央高校、弘前中央高校で全国大会出場8回。そのうち入賞6回(最優秀賞3回、優秀賞3回)。

 矢野青史(やの・せいじ)

福島県立福島明成高等学校教諭・演劇部顧問(執筆時)。
1969年神奈川県生まれ。明治大学文学部史学地理学科卒業。小高商業、郡山高校の演劇部顧問を経て、2007年より、福島県中通り北部地区唯一の農業高校である同校に勤務。演劇部を創設し、顧問として脚本を書き、指導にあたる。
主な作品に、
2003年『七月の光』福島県高等学校演劇コンクール優秀賞第2席、
2009年『突撃!販売実習!!〜北川咲アタック篇〜』福島県高等学校演劇コンクール最優秀賞・東北地区演劇発表会優秀賞、
2013年『順化室〜放課後の花たち〜』福島県高等学校演劇コンクール優秀賞第2席、などがある。

 瀬戸山美咲(せとやま・みさき)

劇作家・演出家。ミナモザ主宰。
1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。大学4年生より、演劇活動を開始。音響スタッフ、演出助手、役者を経て、2001年自らが作・演出を担当する劇団「ミナモザ」を旗揚げ。
2014年『彼らの敵』で第58回岸田國士戯曲賞ノミネート。
パキスタンで起きた日本人大学生誘拐事件を描いた『エモーショナルレイバー』、
震災後半年間の自分自身の姿を描いた『ホットパーティクル』2011年、などがある。

 鈴江俊郎(すずえ・としろう)

劇作家・演出家・俳優。office 白ヒ沼代表。
1963年大阪府生まれ。京都大学在学中に演劇活動を始める。
1993年、京都で劇団八時半を結成。
2007年同劇団は活動を休止し、office 白ヒ沼を設立。
1989年『区切られた四角い直球』第4回テアトロ・イン・キャビン戯曲賞、
1995年『零れる果実』第2回シアターコクーン戯曲賞、
『ともだちが来た』第2回OMS戯曲賞、
『髪をかきあげる』第40回岸田國士戯曲賞、
2003年『宇宙の旅、セミが鳴いて』文化庁芸術祭大賞(演劇部門)などを受賞。

 篠原久美子(しのはら・くみこ)

劇作家。劇団劇作家代表。
1960年茨城県生まれ。公務員、舞台照明家を経て劇作家に。
1999年『マクベスの妻と呼ばれた女』日本劇作家協会優秀新人作品に選出、
2000年『ケプラー・あこがれの星海航路』文化庁舞台芸術創作奨励賞佳作。
2005年『ヒトノカケラ』鶴屋南北戯曲賞ノミネート。
2013年、震災後の演劇を考える児童・青少年演劇劇団協同組合合同公演『空の村号』で斎田喬戯曲賞受賞。
劇作のほか演劇教育にも携わり、
2010年、実践記録『子どもたちと一緒に脚本を作る』で、第51回演劇教育賞・特別賞受賞。

  
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