悪魔たち
悪魔たち
    ラーシュ・ノーレン戯曲集 新刊

ISBN

978-4-89380-419-8

ラーシュ・ノーレーン
富永由美

定価

2,8000円+税
スウェーデンの劇作家ラーシュ・ノーレーンの3作品を収める。
「第4回小田島雄志・翻訳戯曲賞 特別賞」受賞

 九〇年代までのノレーンの作品の多くは、夫婦・親子の熾烈な葛藤を深く掘り下げ、人間の内面の深淵を見つめる中で、高度な福祉国家に於ける中産階級の家庭の崩壊を描き出している。登場人物の神経的な、そして肉体的な闘いを細部にわたり、執拗に描き出す作家のエネルギーは読者を、観客を捉えて放さない。息詰まるような迫真力を持つ作品群だが、彼等の精神のカオスを前にすると、嘘やタブーが通用しない神の前で裸形を晒す人間の聖なる営みに立ち合うような深い感動を覚える。彼が、魂の実験室に居る文学の化学者と評されるわけは容易に頷ける。しかも随所に見られるブラックユーモアのおかげで衝撃を受けながらも微笑を禁じえないことが度々ある。
 ノレーンは徐々にオニール、オールビー的な作風からチェホフ的な味わいの家族劇に移り、九〇年末からはスウェーデン社会が抱える病巣に目を向け、ホームレス、麻薬及びアルコール依存症の人々、薬物依存で売春をする人々、身体障害者、精神障害者、犯罪者等、ぎりぎりの生を営む人々を形象化したり、受刑者達との共同作業で舞台創りをして行った。
あとがき より

目次より
殺す勇気 三場
訳者註
日本での上演記録
悪魔たち 七場
訳者註
日本での上演記録
ボビー・フィッシャーはパサデナに住んでいる 三幕
訳者註
あとがき=富永由美

 ラーシュ・ノレーン(Lars Noren)

1944年ストックホルムに生まれる。18歳で抒情詩人としてデビュー。詩作の他戯曲、小説、ラジオ及びテレビドラマも手がける。80年恋愛詩集を出版後詩作を断念、劇作に専念することを決意。82年自伝的な戯曲二作を発表、相次いで上演されるに至り、劇作家として不動の地位を確立。大多数の作品は発表後直ちに国内外で上演され、現代ヨーロッパ随一の劇作家の一人となる。
90年代から国内外で演出家としても活躍。99 〜 07年国立移動劇団の演劇部門の芸術監督を務める。09年からイェーテボリィの民衆劇場の芸術監督を務めている。

〈主要劇作品〉
「殺す勇気」、「恐るべきしあわせ」、「地獄のほほえみ」、「夜は昼を生む母」、「カオスは神と隣合わせ」、「悪魔たち」、「最後の晩餐」、「ヘブリアーナ」、「秋と冬」、「ボビー・フィッシャーはパサデナに住んでいる」、「そして我等に陰を与えよ」、「夏」、「時は我等の棲家」、「ルーマニア人」、「血」、「ある種の冥界の王ハデス」、「クリニック」、「人間集団3: 1」、「7:3 」、「日陰の若者たち」、「11 月」、「冷気」他。
〈受賞歴〉
カール・エミール・エングルンド賞、アフトンブラーデット紙文学賞、ドム・ニオ大賞、アニアラ賞、シェッルグレン賞、ピロート賞、スウェーデンアカデミー北欧賞、リッテリス・エトゥ・アルティブス勲章他。

 富永由美(とみなが・ゆみ)

1940年東京に生まれる。早稲田大学文学部仏文科卒業。62−65年劇団民藝俳優教室に在籍。66−70年スウェーデンに留学。早稲田小劇場(71−77年)、劇団眞空鑑(77−79年)を経て、79年劇団旧眞空鑑創立に参加、現在に至る。別役実作品及びS・ペケット作品(「ゴドーを待ちながら」、「しあわせな日々」)に出演。L・ノレーン作「殺す勇気」、「悪魔たち」、L・フォシェッル作「洗面器の中で釣りをする」を翻訳、演出。L・フォシェッル作「メアリー・ルウ」を翻訳、出演。
94年スウェーデン文化紹介に対して、スウェーデンアカデミー賞を受ける。訳書に、ラーシュ・フォシェッル戯曲集『クリスティーナ女王』(晩成書房)。
71−07年NHK国際放送局スウェーデン語班にて、音楽番組の翻訳、アナウンスを担当。東京藝術大学名誉教授野口三千三氏に師事、30数年間野口体操を学ぶ。現在劇団東演、劇団民藝、朝日カルチャーセンター横浜にて野口体操講師を務めている。

  
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