をぐり考・照手と小栗
  説経節「小栗判官」の世界

ISBN

4-89380-283-6
978-4-89380-283-5

ふじた あさや

定価

2,000円
初版
2002年12月15日
説経節「小栗判官」の世界を描いた異色のひとり芝居『をぐり考』と、フォークオペラ『照手と小栗』の2戯曲。
説経節の世界を語る著者のエッセイ、舞台写真も収録。
説経節3部作 完結編

説経節に出てくるヒロインたちもたくましい。……命を落とした夫のために操を守って遊女勤めを拒み、16人分の水仕事をさせられている照手姫は、小栗の供養のためにと、美濃の青墓から大津まで、餓鬼阿弥(実は変わり果てた小栗)の土車を牽く。「女に氏はないぞやれ(山椒太夫)」という時代によくもこれだけの女性像を創り出したものである。これも底辺の民衆が夢見た物語の力であろう。

小栗の再生を支えているのは、閻魔をも動かした家臣たちの忠誠心であり、藤沢の上人の死せる小栗への思いであるが、もっとも大きいのは照手の献身であろう。奴隷ともいえる水仕の身分から、巫女に身をやつしての道行きは、小栗再生のための祓いとして位置付けることができる。
──ふじたあさや(本書より)

【もくじ】より
ひとり芝居 をぐり考
フォーク・オペラ 照手と小栗 説経節『をぐり』より
説経節における死と再生
底辺の民衆の夢見た物語の力 説経節3部作を終えて
  
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