中学校創作脚本集 2019
ISBN
978-4-89380-489-1

中学校創作脚本集2019編集委員会

定価

2,200円

初版

2019年7月20日
イマジン
斉藤俊雄
イマジン』は21世紀が始まった2001年を描いた作品です。2001年はアメリカ同時多発テロ事件が起こった年でもあります。
イマジン』は、そんな大きな事件が起きた年の、ある中学生たちの周りで起きた小さな、でも一人一人にとってはとても大きな出来事を描いたドラマです。

みんなの歌
中原久典
大分豊館中学校3年2組。合唱コンクールまであと1週間。
今日は貴重な体躯館練習日。
放課後、集まったのは、女子生徒だけ……。
あれ、男子は? どこ行ったのよ

くるみとすももと黒崎くん
横山淳子
いつも元気な3年3組。
しかし夏休みを目前にして未だ進路希望調査が出せない2人がいた。
同じく保育園から幼なじみの黒崎虎徹は全日本中学バレーボールの強化選手に選ばれたというのに。
中3の夏は恋に進路に、そして部活に大忙し。
3人いや仲間たち全員はいったいどんな進路を選ぶのか。

花は咲くII 少女前へ
板垣珠美
和花は中3。受験を目前にした2月になって幼馴染みの美都が受験をしないという話を聞き、驚く。さらに、その理由である「したいことをするため」ということも和花にはわからない。また、3・11以降に福島から転校してきた咲良が、ここにきて父親が福島へ帰ると言い出し、困惑していることを知る。
中学校の先が当たり前に高校進学だと思っていたのに、受験の先にある生き方や、置かれた状況の中で自分との向き合いなど、和花にとって今まで考えなかったことが、ここにきて心に響いてくる。

この作品上演時、3・11から7年がたっていました。大人たちはまだ7年といい、原発の後処理などに取り組むものの、進まぬ復興や行政の対応に腐心しています。しかし、子どもたちの7年は長く、大きなものです。
あの震災時に、関東にいて、自分たちの心配をし、計画停電も出来事としか受け止めていない子どもたちも、7年もたてば大きくなります。でも、あの時の衝撃を忘れずに、いつも心を痛めている子がいることも事実なのです。
前作「花は咲く」では、福島の中学生を描きました。この作品は、3・11を受け止めつつ、自分の生きる道を考えようとする関東の少女たちの話です。

地下室クラブの遠藤くん
久保とみい
あかり、希世子、陽介は秘密の地下室クラブ会員。
ある日、そこに置かれていた紙製の守り神「遠藤くん」が消えてしまう。入れ替わりに現れた正体不明、自称エンドウくんは、3人の願いをかなえるために来たと言い出した。疑う希世子と喜ぶ陽介、そしてあかりは迷う。
しかし、エンドウくんの「あなたのお願いとそれがかなった後の姿が見えます。その後でそのお願いをかなえるかどうかを選んでください」という言葉に誘われ、3人はそれぞれのお願いを試すことにする。
──「家族、進路、仲間」の悩みに向き合う中学生たちのちょっと不思議な成長物語

悲劇 『鬼人間─おにんげん─』
原案・村上裕亮/脚本・久保美咲仲間創
桃太郎に、もし別のお話があったなら。
美しい花畑がある女木島。ここには昔、なにもなく、荒れはてていて、鬼が住んでいた。
鬼は人間から恐れられる存在。しかし鬼たちは本当は──。

10years 〜夜明けのコスモス〜
仲間創
今年で廃止になる桐の葉中学校芸術コースの生徒たちが、こっそり学校に泊まりこんで、文化祭のお化け屋敷の準備をしています。そこで次々起こるできごと、やがて先生にも見つかり……。
お化け屋敷はどうなるのでしょうか。そして、この世に"お化け"はいるのでしょうか?

流星の命
村中恵李花
仲良し姉妹の美花と美波。
妹の美波は難病を患っていた。ある日、美花は、美波の余命が残り1週間だと知ってしまう。
誕生日が間近の美波に何かしてあげたいと思う美花。しかし、2人は喧嘩をしてしまう……。
誕生日、美花とその友達がとった行動とは? そして美波は何をおもうのか。
流星が降る夜に紡がれた、一つの優しい物語があなたに感動を届けます。

ハルヤくんの野望
浅田七絵
人前に立つと緊張してしまう。普段は目立たなく過ごしているけれど、本当は活躍してみたいと思っている。目標とか計画を立ててはみるものの、結局は達成できない。女子とか強気な人からは、なんとなく怒られそうな気がする。大勢の中では自分らしさを出せない。
……こんなどこのクラスにも1人はいそうな「ハルヤくん」の小さな小さな成長物語です。自分を変えるために、あることに挑戦した「ハルヤくん」が、最後に手に入れたものとは?

こころのとびら
稲垣 凜
不幸な事故で一生歩けない体となってしまった主人公・かいる。留年した彼女は学校でいじめられ、友達に見放され、大学進学も否定されてしまう。
もう何もかもあきらめかけた時に出会ったのは、「車イスのバスケ」と1冊の絵本だった。新しい世界観にふれ、彼女は「生きる意味」をとり戻していく。

藍の風が吹くとき 〜いのちの理由〜
辻村順子
「あの世」と「この世」の間には、もう一つの世界があるんだよ。真夜中の奥座敷へ、ようこそ。

「座敷わらし」が住むという伝説の残る、岩手県北・金田一の旅館「緑風荘」。火事で焼けた後、再建を果たし、全国から座敷わらしに会いたいと宿泊客が集まっていた。
そしてここ金田一は、作家三浦哲郎の父の実家のある村でもあった。戦後、作家を夢見る少年は、夏休みに父の勧めでただ一人、金田一を訪れる。そこで、少年が出会ったのは……。

大地震や津波、暴風雨や土石流、大災害が後を絶たなかった平成。家族や平穏な生活を突然失った悲しみは、今なお人々の心に深く刻まれている。当り前の今日を、当たり前に迎えるられることが、いかに幸せなことか。
かつて飢饉や災害によって、生きたくても生きられなかった座敷わらしたちは、「父母や兄姉に出会える幸せ」「学校に通える幸せ」「夢を持てる幸せ」「お腹いっぱい食べられる幸せ」「友達とケンカしたり遊んだりできる幸せ」など、当たり前のことを当たり前に味わえる幸せを、哲郎に教えてくれる。
「命ある限り、精いっぱい生きろ」と訴える座敷わらしたちの願いは、子どもたちが自らの命を無駄にせず、せっかく抱いた夢をあきらめないで生きることだ。

  
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